こんにちは、はてなニュース編集長の飯塚です。
ニュースサイトを運営していて日々感じるのが、企画のもとになる「ネタ探し」の重要性です。メディアに携わる編集者やライターの皆さんにとっては、独自の情報収集ルートやテクニックを持っておくことが、そのまま自分の仕事に直結するのではないでしょうか。
はてなニュース編集部では、ネタ探しのやり方は基本的に各編集者におまかせしています。編集部宛に届くプレスリリースは編集部全員のメーリングリストで共有していますが、それ以外にどんな方法でどんなネタを探してくるかは自由です。時折「どこで見つけたの?」というようなマニアックな話題が飛び出すこともあります。
今回は、そんなはてなニュースの編集部が実践している、はてなブックマークを中心とした情報収集術についてご紹介したいと思います。
情報収集の要は「はてなブックマーク」
ネタ探しの際は、Twitter、Facebook、InstagramといったSNSアカウント、RSSリーダー、社内のSlackチャンネルなどあらゆるツールを活用していますが、はてなニュースの読者の皆さんに楽しんでいただけるような“はてならしい”ネタを探すとき、最も頼りになるのがはてなブックマークです。
人気順・新着順でのチェックは基本
基本中の基本として、ブックマークされたエントリーを人気順や新着順で見ています。
すでに人気上位になっている話題をそのまま取り上げることは少ないですが、「今このジャンルではこのテーマが熱い」というのを知っておくことは、日々の情報収集の感度を上げるために、とても重要だと考えています。たとえその場ですぐ記事化につながらなかったとしても、別の機会にその話題に関する新しい情報を得たときなどに、「これはあのときに話題になったネタの続報だな」とすぐ気付くことができます。
新着順のページには、ブックマークされ始めたばかりの新しいネタが隠れています。「一体どうやって見つけてきたんだろう??」というようなページがブックマークされていて、編集部で驚くこともよくあります。
ネタをピックアップする際のポイントとして、例えばネタ自体のインパクトが十分強い場合は、ストレートに取り上げるだけで注目を集めることがあります。タイトルやテーマがユニークな書籍などは、その一例です。
はてなブックマーク独自の検索方法を駆使する
人気順・新着順でのチェックは基本“流れてくるネタをどんどん見ていく”スタイルですが、企画のざっくりしたテーマが決まっているときや、特定のテーマについてもう少し深く知りたいときなどは、はてなブックマーク独自の検索機能を活用しています。
一般的な検索エンジンも併用しますが、「はてなブックマークが付いている」エントリーから探す方が、よりはてなユーザーさんに楽しんでもらうためのヒントになる可能性が高いからです。
例えば、「IoT」に関する企画を考えたいとき。はてなブックマークの検索窓に「IoT」と入力して検索すると、まず「本文にIoTというキーワードを含む」エントリーが表示されます。サイドバーの「検索対象」欄から、「IoTというタグを付けてブックマークされている」エントリーや「記事タイトルにIoTが入っている」エントリーに切り替えたり、新着順・人気順に並べ変えたりもできるので、条件をいろいろ変えながら、欲しい情報を探します。
キーワードを使った検索以外に、URLを使った検索も便利です。例えば「このサイトの記事はよくブックマークされているな。他にはどんな記事が人気なんだろう?」というとき、ブックマークの検索画面に表示されている当該サイトのドメイン名をクリックすると、「当該サイトの記事のうち、はてなブックマークが付いているもの」だけを表示することができます。
また、検索窓に特定のサイトのURLを直接入れて検索することも可能です。「自分のサイトの記事のうち、よりブックマークが多いエントリーから順に見ていく」といった使い方ができるので、自分のサイトでブックマークされやすい記事の傾向も見えます。
はてなニュースでは、タグやURLを使ったはてなブックマークの検索機能自体を生かして、こんな記事も公開しています。
逆に“超アナログなやり方”が効く場合も
ここまでは、はてなブックマークというデジタルなツールを使った情報収集術をご紹介してきましたが、まったく逆のアナログな手法が役に立つこともあります。
道を歩いていて見つける
はてなの本社オフィスは京都にあるので、京都に関する情報収集が必要なときもあります。しかし東京の情報に比べ、京都に関する情報は、必ずしもプレスリリースなどインターネット上の情報源だけでは得られないことがあります。
例えば過去には、たまたま休日に街を歩いているときに、オープンに向けて工事中のお店を見つけて近寄ってみたら、はてなのユーザーさんが好きそうなお店の京都店だった、なんていうことがありました。特に地元の情報を発信する場合は、普段から街の様子とその変化をよく見ておくことが重要といえます。
はてなニュースを運営する中で「こういうテーマの記事は特にはてなユーザーさんの関心が高いな」と感じるものがいくつかありますが、「京都」はその一つです。京都の他に、例えば「猫」「文房具」「宇宙」「タモリさん」なども人気です。そういった人気のテーマについては、下記の「京都×猫」のように複数掛け合わせると、単体で取り上げる以上の相乗効果を生むことがあります。
お店で売られているものから見つける
トレンドを把握するためには、“今、お店で何が売られているか”をチェックするのもおすすめです。家電量販店で気になるガジェットのコーナーを眺めるのはもちろん、バラエティーショップで大きく場所を取って展開されている商品をチェックしたり、本屋に行って特集コーナーをチェックしたりするだけでも、“今ウケる”もののヒントが見えてきます。
「最近なんとなくこういう商品が多いな」ということに気付くと、ブームの兆しが見えてきます。また、そのような商品を手に取っているのはどんな年代や性別の人なのかを、さりげなく見ておくのもいいでしょう。そういった視点で見られるのは、実店舗ならではです。
会話の中で見つける
インターネット経由ではない、リアルな“口コミ”情報が役立つこともあります。特に思わぬヒントをくれるのが、「自分とは違う職種、業界、年代、性別の人」や「普段から自分とは違う情報源に触れている人」との会話です。その人にとってはごく当たり前の情報でも、多くのインターネットユーザーにとってはとても新鮮で、面白い情報だったりします。
テーマを設定する際に意識していること
最後に、ここまでで触れた以外にも“記事化するネタをピックアップする際に意識しているポイント”がいくつかありますので、ご紹介します。
目新しさ・独自性があるかどうか
プレスリリースをもとにした記事は、同じタイミングで多くのメディアに掲載されるため、独自性を出すのは難しいこともあります。一方で「大手のプレスリリース配信サービスには載らないネタ」や「プレスリリースは出ていても、意外と他媒体で取り上げられていないネタ」は、思わぬヒットの可能性を秘めていることがあります。
独自性という観点では、はてなの編集部だからできる企画として、はてなのスタッフに焦点を当てた記事もあります。
広すぎず、狭すぎずを狙う
記事のテーマを設定するとき、狙う層が広すぎるとテーマがぼんやりしたり目新しさがなくなったりしてしまいます。逆に狭すぎても、ニッチすぎてあまり読まれない記事になってしまうでしょう。
はてなニュースの読者の皆さんには、「少し珍しい切り口の、面白いネタや役立つネタ」が喜ばれる傾向にあります。企画を立てる際は“広すぎず、狭すぎず”のラインを意識しています。
今回は、はてなニュース編集部による、はてなブックマークを中心とした情報収集術についてお送りしました。
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